昇降口で靴を履き替え、校門を出る頃には夕方の風が制服の裾を揺らしていた。
家までの道はどこか違って見えた。
新しい生活が始まったせいか、景色が少しだけ明るく感じる。
家に着く頃には、空はすっかり夕焼けに染まっていた。
玄関の扉を開けると、今日一日の疲れがようやくほどけていくようだった。
――今日は、本当に長い一日だった。
でも、悪くなかった。
明日から、ちゃんと頑張ろう。
家に着くと、玄関の灯りがついていた。
靴を脱いでリビングに入ると、妹がソファに座ってゲームをしていた。
「おかえり、お兄ちゃん!」
ぱっと顔を上げて笑う。
その笑顔を見るだけで、胸の奥がじんわり温かくなる。
「ミユキ。ただいま。……待ってたの?」
「うん! だって昨日の続き、一緒にやるって言ったじゃん」
得意げにコントローラーを掲げる。
その仕草が可愛くて、自然と頬がゆるんだ。

「入学式どうだった?」
「クラスどう?」
「友達できた?」
「先生怖かった?」
操作する手と質問が止まらない。
まるで今日の全部を共有したいみたいに。
「そんなに一気に聞くなよ。んー楽しかったかな?」
優しく言うと、妹は嬉しそうに笑った。
「よかったぁ。お兄ちゃん、緊張してたもんね」
「まあな。でも、そんなもんだって。入学式だもん」
「そっかあ」
妹は照れたように笑いながら、僕の隣にぴたりと寄ってきた。
「ねえねえ、クラスにかわいい子いた?」
「……なんで?」
「だって気になるじゃん。お兄ちゃんの学校生活!」
「ふふ……まあ、いないとは言わないけど」
「えっ、いるんだ!」
目を輝かせる妹が可愛くて、つい頭を撫でてしまう。
「ミユキ、ほんとそういう話好きだよな」
「だってお兄ちゃんのこと知りたいんだもん」
その言葉に胸が少し熱くなる。
こんなふうに素直に言われると、どうしても甘くなる。
「……ありがと。ちゃんと話すよ」
「うん!」
妹は嬉しそうに笑った。
「そうだ、お母さんから伝言あったよ。
『誠、制服しわにしないでちゃんとかけなさい』だって」
「はは……分かったよ。ちゃんとかける」
「うん、えらい!」
褒められて、なんだかくすぐったい気持ちになる。
「じゃあさ、お兄ちゃん。落ち着いたら一緒にやろ?
昨日の続き、すっごく気になってたんだよね」
「もちろん。ミユキとやるのが一番楽しいからな」
「えへへ、知ってる!」
妹は嬉しそうに寄りかかってくる。
いつものその温もりに、今日の緊張がゆっくりとほどけていく。
画面のReady Goがいつもより明るく光っていた。
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